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しぎなの前に立ち上がったウィンドウには、手で様々な形を表したイラストが五十音順に並んだ画像が表示されていた。
「これは……?」
「“手話”と呼ばれるものです。
まだ使ってる人も、いるにはいるんですよ。
この中にありませんか?」
しぎなの問い掛けに、手指を忙しなく動かし続けて答えるとえり。
こういう発想はなかった。
口がきけないという人間がこの時代には皆無だったので、手話はほとんど忘れ去られた存在だったのだ。
「なるほど、手話か。
んん、似たようなものはありそうだが……」
しかし、一つ一つ目を凝らしてイラストを確かめても、少女がやったハンドシグナルに近いものはなかった。
「こちらはどうでしょう。
英語ですが……」
とえりがさらにウィンドウを付け足し、アルファベットの手話一覧を提示してきた。
もしかしたら文字ではなく単語を表しているのかもしれないと思い始めた時、ようやくそれらしいイラストを発見した。
「これか?
S……、O、S」
「SOS?
それ、モールス時代のエマージェンシーコードですよ」
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