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しぎながイラストに対応したアルファベットを読み上げると、とえりがすぐさまその意味を答えた。
目の前をおおっていた霧が晴れたような気がして、2人は見合ったまま固まる。
「……ってことは?」
横合いから声をかけてきたケイトに目をやり、しぎなが一言。
「助けを求めているってことだ……」
続けて、とえりに問い掛けた。
「とえり、その“サブなんとか”というアプリを教えてくれないか?
少女がいないか、ホークアイシステムをのぞいてみる」
「“サブリミナルガード”なら必要ありませんよ。
例のブリンクアプリをマルウェア申請したので、街なかのレーダーカメラからはすでにアンインストールされてます。
つまり、透明人間ではなくなりましたから」
「優秀だな。
まあ、今後こういうことがあるかもしれない。
備えておいてもいいだろう?」
「では、これを……」
そう言ってとえりが、濃紺のスーツの内ポケットからカードを数枚取り出し、その内の1枚をこちらに差し出した。
携帯用のコンピュータ端末、“ハンドモバイル”だった。
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