・第1話〔4〕

17/19
前へ
/673ページ
次へ
   しぎながイラストに対応したアルファベットを読み上げると、とえりがすぐさまその意味を答えた。   目の前をおおっていた霧が晴れたような気がして、2人は見合ったまま固まる。     「……ってことは?」      横合いから声をかけてきたケイトに目をやり、しぎなが一言。     「助けを求めているってことだ……」      続けて、とえりに問い掛けた。     「とえり、その“サブなんとか”というアプリを教えてくれないか? 少女がいないか、ホークアイシステムをのぞいてみる」     「“サブリミナルガード”なら必要ありませんよ。 例のブリンクアプリをマルウェア申請したので、街なかのレーダーカメラからはすでにアンインストールされてます。 つまり、透明人間ではなくなりましたから」     「優秀だな。 まあ、今後こういうことがあるかもしれない。 備えておいてもいいだろう?」     「では、これを……」      そう言ってとえりが、濃紺のスーツの内ポケットからカードを数枚取り出し、その内の1枚をこちらに差し出した。   携帯用のコンピュータ端末、“ハンドモバイル”だった。  
/673ページ

最初のコメントを投稿しよう!

140人が本棚に入れています
本棚に追加