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しぎなもハンドモバイルをポロシャツの胸ポケットに片付け、映像を目の端に表示させておいて仕事に取り掛かった。
そこからは、3人黙々とデスクに向かった。
昨日までの捜査報告書はまだ出来上がっていなかったし、捜査計画書も作成途中。
刑事というのは書類を作るという作業だけで、一日の大半を費やす。
この日もまた、デスクワークで終始しそうだ。
その間、しぎなは東奈市全域の監視をおこたらなかった。
今、少女を見つけられる可能性があるものは、“これ”だけだ。
ホークアイの映像に少女の姿が写り込むことを祈って、眺めるしかない。
なぜ、暗号めいたやり方で“SOS”などと伝えてきたのか。
彼女の正体は、目的は。
未だ解けない謎に、焦りを募らせるしぎなと特課メンバー。
だが、その瞬間は突然訪れた。
日が暮れて間もなく、ミニチュア都市の1カ所に少女らしき影を観測したのだ。
しぎながアーマリーで、必要なファイルを参照していた時だった。
彼はすぐさまチークボタンに触れて、コールする。
「課長、あの子だ……」
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