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少女の姿を確認したのは、奇妙なことに“セクエンス本社ビル”だった。
どういうつもりか、誘っているのか。
失敗したテロリズムのリベンジでも始めようというわけでもあるまいが。
ひとたび忍び入った犯行現場にこれほど早く戻って来るなど、とても利口なやり方とは思えないし、何か意図があってのことだと思えて仕方がない。
目的が何にせよ、グレーパーカーの女の子が夜のビル街を跳び回った末、セクエンス本社ビルに跳び入ったのは、とにかく確かだった。
前回しぎながクラッシュ弾で撃ち割った窓、張られたブルーシートを突き破って、今回少女が侵入したわけだ。
しぎなはすぐさまアーマリーを飛び出し、ウィンドウの中の課長の制止を振り切って自分の車に乗り込んだ。
目的地設定を済ませば、あとは勝手に車がそこまで運んでくれる。
車中でもUAR通信を介して色々と問答はあったものの、一刻でも早く現場に駆けつけることを優先した。
焦っていた。
すでに2度も失態を演じてしまっているのだから、今度こそ彼女を取り逃がすわけにはいかなかった。
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