・第1話〔5〕

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   話しかけながら、しぎなはカウンターの上に設置された機器に手指を触れる。    ロンググラスを逆さにしたようなそれは“ゲートウェイコンピュータ”または“ハブコン”と呼ばれ、自身の身元を証明するためのスキャンを行うものだ。   指先のパーソナルタグを読み取って、その人物がどのような素性なのかを識別する。   と同時に、ゲスト登録をして建物内のUARオブジェクトをディスプレイに表示するための同期も行う。   一瞬で作業が済むと、真っ白だった内装が大理石調のテクスチャーに切り替わった。     「責任者に連絡を……。 それから2人とも外に待避してくれ」      しぎなが命じると彼女たちは応じ、1人はチークボタンに触れて通信を始めた。   しぎなのほうは、返答を待たずに上階へのエレベーターへ向かう。   ボタンを押すと、すぐにドアが開いた。   乗り込んで、一気に18階まで上昇。   目的階に達すると、ホルスターから引き抜いたハンドガンの銃口を先頭にエレベーターを降りた。    UARで豪勢に飾り付けられたエントランスホールと打って変わって、飾り気のない内装、それほど明るくない照明が通路を照らしていた。  
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