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話しかけながら、しぎなはカウンターの上に設置された機器に手指を触れる。
ロンググラスを逆さにしたようなそれは“ゲートウェイコンピュータ”または“ハブコン”と呼ばれ、自身の身元を証明するためのスキャンを行うものだ。
指先のパーソナルタグを読み取って、その人物がどのような素性なのかを識別する。
と同時に、ゲスト登録をして建物内のUARオブジェクトをディスプレイに表示するための同期も行う。
一瞬で作業が済むと、真っ白だった内装が大理石調のテクスチャーに切り替わった。
「責任者に連絡を……。
それから2人とも外に待避してくれ」
しぎなが命じると彼女たちは応じ、1人はチークボタンに触れて通信を始めた。
しぎなのほうは、返答を待たずに上階へのエレベーターへ向かう。
ボタンを押すと、すぐにドアが開いた。
乗り込んで、一気に18階まで上昇。
目的階に達すると、ホルスターから引き抜いたハンドガンの銃口を先頭にエレベーターを降りた。
UARで豪勢に飾り付けられたエントランスホールと打って変わって、飾り気のない内装、それほど明るくない照明が通路を照らしていた。
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