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こちらの動きを察知したのだろう、その部屋から2つの赤いシルエットが抜け出し、通路をやって来る。
しぎなはとっさにハンドガンをヒップホルスターへ片付け、エレベーターホールの角に身を隠した。
息を殺し、敵が近付くのを待つ。
シルエットが並んで曲がり角を曲がってくる。
「板東、ガラスが割れてるぞ。
誰か撃たれたか……?」
先頭がリーダーに報告する途中で、しぎなは床を蹴って跳び上がり、シルエットでなくなったそいつの視界を斜めに横切った。
「うわっ、何だっ!?」
そのまま反対側の壁の中ほどをキックして、青黒いフルフェイスヘルメットの中で驚き声を上げている2人の頭上を飛び越える。
とんぼを切って作業服姿のテロリストたちの背後へ着地し、手近なほうの背中に一撃。
「がっ!!」
鉄拳を叩き込んでやった男が、その衝撃を口から吐き出してのけ反った。
ついでにこいつをSMGを構えたもう一方の男へと、突き飛ばしてやる。
「だっ、くそっ!」
ドドドッ。
気絶した男越しに、銃口がなまり玉をばらまく前に頭を低めてやり過ごす、しぎな。
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