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その後もしぎなは、少女とともに逃げてゆくテロリストたちを追走し、チャンスがあれば容赦なく弾丸を撃ち込んだ。
しかしどういう道理か、こちらの弾がかすりもしなければ、あちらの弾までかすりもしない。
加えて奇妙なことに、皆どこかで見たような顔ばかりだった。
『いるのね、6人?
また透明になってるのね!?』
「ああ、そうだ、6……人……」
課長の言葉で、ようやくしぎなは何がおかしいのかを分かった気がする。
6人、少女を入れて7人だ。
ふと思い付いて、次の角を曲がる前に、彼はインナーコンピュータのストレージにある一つのファイルを呼び出した。
先日確保したテロリストたち、彼らの証言が書かれたページを開き、確信する。
「課長、どうやら俺もやられたようだ。
通信を切るぞ」
『えっ、何?
ちょっと、しぎ……』
仲里課長の声が続いている内にしぎなは、片目を閉じてディスプレイやスピーカーなどのインナーデバイスを即時的にOFFにした。
にらんだ通り、途端に辺りが静まる。
「まさか、同じ手に二度も引っ掛かるとはな……」
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