・第1話〔5〕

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   一つのドアに入っていこうとする彼女の足が、一瞬止まった。   ズドンッ。   その後ろ影にハンドガンの狙いを定めて、ためらわず撃つ。     「アアッ!!」      少女は悲鳴を上げて、弾を見舞った左肩から前のめりに卒倒する。   閉まる自動ドアが、その姿を隠した。   放ったのは、弾頭がスポンジ構造をした“クラッシュ弾”と呼ばれるもの。   着弾した物の材質によって、効果が変わるという代物だ。   すなわち、プラスチック以上の硬度で中に仕込んだ炸薬が炸裂するが、人肌に対しては炸裂しない代わりに弾頭がつぶれて衝撃を抑え、ゴム弾と同等の威力となるのだった。     「…………」      しぎなはドアの前まで詰め寄って、わずかに息を整えた。   ハンドガンを構えたままセンサーに手を触れると、ドアはすみやかにスライドして開いた。   中もまた薄暗く広やかな部屋。   幸い、ソファやチェストといった、身を隠すための地物となり得るものは多い。   青白いウォールライトが床のみを照らしていて、部屋の中ほどに仰向けに倒れている少女が見える。  
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