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狙い通り、彼女は気絶しているようだった。
どうやら応接室らしい。
入室し、背後でドアが閉まったあとで用心して近付いてゆくしぎな。
フードがずれて、素顔があらわになっていた。
てっきりこの子も、いわゆる“エラーコーダー”であるテロリストの仲間なのだから、人とは違う外見をしているのではないかと勝手に思い込んでいたが、違った。
この子は健常者だ。
栗色のセミロングヘアー、色白ですべらかな肌。
今はまぶたを閉じていて瞳の色はうかがえないが、両ほほにはコーダーである証の三角のチークボタンが確認できる。
さらに詳しく調べてみようと、しぎなは小腰をかがめた。
「ハッ……!」
唐突に、何かが起動する音とともに奥の床が輝き出したので、すぐに立ち上がることとなった。
とっさに銃口をそちらへ向ける。
床に埋め込まれた円形の装置、その上に現れる、
……男の子。
『やあ、言葉を交わすのはこれが初めてだね』
子供らしい声音ではあったが、あまり子供らしいとは思えない口調だった。
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