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しぎなの半分ほどの身長で、両耳を隠す程度に伸びた黒髪、挑発的な三白眼。
幼い姿で油断を誘ってでもいるのか。
暗色の上下に青いオープンシャツという出で立ちは、どこにでもいそうな子供ではあったが。
ただし、ここにはいない存在だった。
見当なら付いている。
「板東まさぎ……」
『ご明察。
まあ、そう呼んでもらって構わないよ』
しぎなが言い当てると、余裕ありげに薄ら笑いを浮かべる板東。
からくりも分かっている。
「ホログラフか、古風だな……」
『僕のものではないよ、ここの社長がしつらえたものさ』
インナーディスプレイをOFFにしていても立体映像が見えるのは、これがプラズマ発光を利用した旧世代の技術だからだ。
円形の装置から空中に投影されているのは当然アバターだろう、生声を加工してあるらしい子供の声は壁に貼り付けられたスピーカーから出ている。
ようようのこと黒幕の登場となって、しぎなの胸にふつふつと怒りが込み上げてきた。
「お前がテロリストたちを操っていたのか。
この子に爆弾を仕掛けてまで、何をさせるつもりだ」
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