140人が本棚に入れています
本棚に追加
『ところで君は、自分の思考や思想がコントロールされたものではないかと思ったことはない?
他人に植え付けられた、偽りの考えだと……』
「……何の話だ」
『実は、セクエンスコーポレーションの隔離サーバーに侵入したら、面白いファイルを見付けてね。
これだよ。
タイトルは、“脳細胞コーディングによる記憶のコード化”』
手指を腰もとで踊らせて板東が、妙な話題を振ってきたと思ったら、次にはホログラフ上でウィンドウを開いて見せてきた。
脳の挿し絵とともに長々しい文章がつづられた、ドキュメントファイルだった。
板東まさぎの真の目的は、これか……。
『おかしいと思ってたんだ。
大半の“エラーコーダー”が、少ない賠償金で納得するなんてさ』
「セクエンスコーポが顧客の大脳真組織をいじったと言いたいのか?
有り得ないな……記憶を改ざんすると、必ず痕跡が残る。
賠償金も決して少ない額ではないだろう」
『だから、その考え方が危ういと言いたいんだよ。
日々の行動からお金のやり取りまで、全て管理されてることに疑問を抱いたりしないの?』
最初のコメントを投稿しよう!