・第1話〔5〕

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  『ところで君は、自分の思考や思想がコントロールされたものではないかと思ったことはない? 他人に植え付けられた、偽りの考えだと……』     「……何の話だ」     『実は、セクエンスコーポレーションの隔離サーバーに侵入したら、面白いファイルを見付けてね。 これだよ。 タイトルは、“脳細胞コーディングによる記憶のコード化”』      手指を腰もとで踊らせて板東が、妙な話題を振ってきたと思ったら、次にはホログラフ上でウィンドウを開いて見せてきた。   脳の挿し絵とともに長々しい文章がつづられた、ドキュメントファイルだった。   板東まさぎの真の目的は、これか……。     『おかしいと思ってたんだ。 大半の“エラーコーダー”が、少ない賠償金で納得するなんてさ』     「セクエンスコーポが顧客の大脳真組織をいじったと言いたいのか? 有り得ないな……記憶を改ざんすると、必ず痕跡が残る。 賠償金も決して少ない額ではないだろう」     『だから、その考え方が危ういと言いたいんだよ。 日々の行動からお金のやり取りまで、全て管理されてることに疑問を抱いたりしないの?』  
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