・第1話〔5〕

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  「管理されようとしない者は、何かやましいことでもしているのではないかと疑われる。 反対に、市民に何かあれば、それは政府の責任になるだろう。 ルールを守らなければ、ルールに守られもしない。 そういう世の中だ」      こちらの正論に、板東は眉をひそめて不快感をあらわにした。     『残念だけど、僕の計画に君は必要ないようだ。 消えてもいいよ……』      そう言い置いてふつと消えていったのは、むしろ板東のほうだった。     「…………」      変な肩透かしをもらったしぎな。   どうにも安堵できず、その場からしばらく動けなかった。   だんまりを決め込んだホログラフの投影装置を注視してみても、静まり返った室内を見回してみても、何か起こりそうな気配は別段感じられない。   チークボタンに触れて、ひとまずインナーデバイスを再開させておくことにした。   デジタル時計や温度計、各種パラメーターがインナーディスプレイ上に正常に描画されてゆく。     「コール、ナンバー3……」      続いて通信機能を立ち上げようとしたが、圏外表示のためにそれはできなかった。  
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