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「管理されようとしない者は、何かやましいことでもしているのではないかと疑われる。
反対に、市民に何かあれば、それは政府の責任になるだろう。
ルールを守らなければ、ルールに守られもしない。
そういう世の中だ」
こちらの正論に、板東は眉をひそめて不快感をあらわにした。
『残念だけど、僕の計画に君は必要ないようだ。
消えてもいいよ……』
そう言い置いてふつと消えていったのは、むしろ板東のほうだった。
「…………」
変な肩透かしをもらったしぎな。
どうにも安堵できず、その場からしばらく動けなかった。
だんまりを決め込んだホログラフの投影装置を注視してみても、静まり返った室内を見回してみても、何か起こりそうな気配は別段感じられない。
チークボタンに触れて、ひとまずインナーデバイスを再開させておくことにした。
デジタル時計や温度計、各種パラメーターがインナーディスプレイ上に正常に描画されてゆく。
「コール、ナンバー3……」
続いて通信機能を立ち上げようとしたが、圏外表示のためにそれはできなかった。
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