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嫌な予感がして、入ってきたドアまで詰め寄ってセンサーに手をかざすが、反応がない。
手動で開けてみようと試みるが、完全にロックされていてびくともしなかった。
他に出入り口は見当たらず、いつの間にか密室となっていたようだ。
「なずさ……」
未だ目を覚まさない少女を呼び掛けようとして、万が一のことが頭をよぎり、やめておいた。
何の因果か、見も知らぬ部屋に爆弾を埋め込まれた少女とともに閉じ込められようとは。
どこかに設置されているのだろう監視カメラ越しにのぞく真犯人の、陰湿な眼差しを想像して焦燥感だけが募ってゆく。
「……!?」
不意を突かれるというよりも、やはり来たかという感覚だった。
突如、ビービーと鳴り響く警報。
フォントやピクトグラムが真っ赤に染まる。
目に写る景色にノイズが走り、耳が捉える音にノイズが走る。
デジタル攻撃によるクラッキングだ。
仕掛けてきたのは当然、奴なのだろう。
「おい、ふざけるなよ……!
板東!!」
怒気を込めて叫んでみるが、板東は姿を見せなかった。
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