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突然、左腕に激痛が走った。
かと思えば、次には左肩口から左手の甲にかけて、見えない刃物で切りつけられたように皮膚が裂けたのだ。
血しぶきが広がる。
警報と耳鳴りが最高潮に達する。
筋肉に施した“衝撃偏向機構”が悪用されたことは何となく理解できるが、どうやってそれを成したのかが分からない。
しぎなはハンドガンを持ったまま、右手でそこを押さえつけていた。
こちらに攻撃が届いて意を強くしたか、板東は得意げになって畳み掛けてきた。
『次は、右足!』
ボンッ。
宣言通り、しぎなの右足のふくらはぎが、もしくは“GCデバイスのジェネレーター”が、鈍い炸裂音を発してはぜた。
ジーンズを突き破って、肉片と鮮血が足下に飛び散る。
「ああああっ!!」
たまらず叫んだ。
体勢を崩す。
遺伝子構造のモデルが収まっていたショウケースにぶち当たる。
もろともに倒れ伏す、満身創痍のしぎな。
割れたガラスがフローリングに跳ねて暴れる。
「ちいっ……!」
舌打ちしてみるものの、すぐには立ち上がれそうになかった。
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