・第1話〔5〕

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  突然、左腕に激痛が走った。   かと思えば、次には左肩口から左手の甲にかけて、見えない刃物で切りつけられたように皮膚が裂けたのだ。   血しぶきが広がる。   警報と耳鳴りが最高潮に達する。    筋肉に施した“衝撃偏向機構”が悪用されたことは何となく理解できるが、どうやってそれを成したのかが分からない。   しぎなはハンドガンを持ったまま、右手でそこを押さえつけていた。    こちらに攻撃が届いて意を強くしたか、板東は得意げになって畳み掛けてきた。     『次は、右足!』      ボンッ。   宣言通り、しぎなの右足のふくらはぎが、もしくは“GCデバイスのジェネレーター”が、鈍い炸裂音を発してはぜた。   ジーンズを突き破って、肉片と鮮血が足下に飛び散る。   「ああああっ!!」      たまらず叫んだ。   体勢を崩す。   遺伝子構造のモデルが収まっていたショウケースにぶち当たる。   もろともに倒れ伏す、満身創痍のしぎな。   割れたガラスがフローリングに跳ねて暴れる。     「ちいっ……!」      舌打ちしてみるものの、すぐには立ち上がれそうになかった。  
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