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景色を完全にクリアにして、耳鳴りも頭痛も取り払ってから、ヘックス状格子が消え去った。
あとに残ったのは、“イージス”と示されたウィンドウと、すでに90%を越えていたプログレスバーだけだった。
間もなく100%に到達。
こちらのあずかり知らぬ所で爆発したらしい遠音が響いて、それも消えた。
『やってくれたね、300万の機材がBANだ。
ふふ……君、面白いね。
こんな力があったなんて』
どうやらしぎなの後輩が忍ばせたアプリは敵の攻撃を防いだだけでなく、相手にカウンターまでかましたらしい。
『いいよ、“それ”はひとまず君に預けよう。
安心して、爆発なんてしないからさ。
上手く使うといいよ……』
さらりと告げると、板東はしっぽを巻いて逃げ出したようだった。
しかし、しぎなのほうも重傷だ。
うつ伏せのまま手足は動かず、意識は朦朧としている。
こんな状態で再び攻撃を受ければ、今度は確実に息の根を止められるだろう。
それでなくても、出血多量でもうすぐ死ぬかもしれない。
危機的状況はまだ変わっていなかった。
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