・第1話〔5〕

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   ふと気付くと、背後でドアを叩く音がする。     「…………」      聞く内に音は次第に強くなり、やがてガンガンと激しく鳴り出した。   横たわるしぎなが首をわずかに傾げてそちらをうかがうと、どうやらハンマーか何かでドアを打ち据えているようだ。   向こう側にいるのは社員か、警備員か。   あるいは敵だとしても、相手をする余力などない。    最後に金具が弾け飛ぶ音がして、何かが隙間に差し込まれ、頑丈そうなドアがごろごろとスライドしてゆく。   開かれた戸口に現れたのは、ファイアーアックスを手にしたケイトだった。     「おいおい、マジか! しぎな!」      アックスを放り投げ、慌てた様子で彼が駆け寄ってくる。   しぎなはひざ立ちになったケイトに抱きかかえられ、彼が上着の内ポケットから出してきた止血用のスプレーで応急処置を施された。   射出口から白い粘着剤を吹き付けて、患部をラッピングするものだ。   幸いというべきか、裂けていたのはごく浅い部分だけらしく、左腕の止血には程なく成功した。  
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