・第1話〔5〕

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  「すまん、ケイト……。 あの子は……」     「いいさ、しゃべるなよ、大丈夫だ」      交わせる言葉はその程度だった。     「医療班をよこしてくれ! 今すぐだ!」      ケイトは空中を睨み付けて、通信相手に指示を飛ばしつつ作業を続けた。   ドアが開かれたことで、回線もつながったらしい。    しぎなはそろそろと右手を持ち上げて、ポロシャツの胸ポケットから一枚のカードを取り出した。   後輩が用意してくれた“ハンドモバイル”は、一仕事を終えて燃えるような熱をはらんでいた。     「デカい……借りができたな……」      苦笑いを浮かべて、独りつぶやいた。   遠のく意識の中で、動かない少女を見やっておく。   未だ多くの謎が残されていたが、彼女の口から明らかとなるだろう。   あとは捜査が進展することを願うばかりだ。   板東まさぎが捕まることを期待して、しぎなは静かに、目を閉じた。       ── つづく ──  
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