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白光に浮かぶ肉体。
アイドリングを開始する機器類。
体内検査レーザーと空間測定レーダーが、横たわった全身をくまなくスキャンする。
フィルムが巻かれていた左腕は原型を保っていたが、肉をごっそりと欠いた右足のふくらはぎからは真っ赤な液体が漏れている。
収容された施術用のカプセルは、棺桶にも似ていた。
その中で重力制御によって宙に留められたしぎなは、昏睡状態のまま緊急機器治療を施されていたのだ。
消毒ミストが勢いよく患部をそそぐ。
“マイクロマシン”と“生体材料ミセル”による細胞再構築術法が始まる。
フルコーダーともなれば、一般的な病院では対処されない。
専門の医師や機器が必要だった。
板東まさぎのデジタル攻撃で重傷を負ったしぎなは、本庁に隣接する救急医療施設の集中治療室へすみやかに運び込まれた。
ここならば、左腕の裂き傷も、右足のGCデバイスも、ほとんど完治できる。
およそ3時間におよぶ施術を終えて、しぎなは病室のベッドへ移された。
一命は取り留めた。
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