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「今日は先生、わざわざ?」
「健二君の事なんですが私も最初はあまり気にしていなかったんですよ。成績も悪くない、生まれつき体が弱いのは仕方がないのですが、別にいじめられているわけではなく自ら望んで孤立しているようにも見えたので静観していたのです。そううしていたら、学校にこなくなってしまったので状況をお伺いに来た次第です。」
「おうそうですか、それはわざわざ我が不肖の息子のためにありがとうございます。」
お父さんは芝居がかった話し方で先生をねぎらいました。
「健二君は?」
「奥の部屋で遊んでいます。しかし心配ご無用です。健二はいじめられているわけではないのでしょう。健二の考えが先を行き過ぎて他の子にはついていけない。それだけでしょう」
確かにそうだと先生は思いました。考えが先を行き過ぎているという意味はわからないが、健二君は特に嫌われているわけではなく、友達をよく誘っている一方で、他の子と異質な部分があり、他の子がなんとなく気づいている印象だ。
「先生にも心あたりがあるでしょう。」
「まあ、正直に言わせていただくとそうですが、健二君が将来社会に羽ばたいていく際心配です。彼の将来はまだ白紙の状態ですが多かれ少なかれ社交性というものは必要となってくると思われますから。」
「その心配はご無用です。」
「は?」
「社交性というものはこれから社会へ羽ばたいていく際に必要なものでしょう。これから社会は一度解体され、再構築されます。その時人間にどんな能力が必要かわかりませんから」
「言っている意味がちょっとわからないのですが」
「私の専門がロボット工学だということはご存知でしょうか」
「ええ、ご高名はかねがね」
「私がある日研究室で高性能ロボットのプログラムを作成していたとき偶然未来を99.9%予測可能なプログラムができてしまったのです。」
「ほう、それはすごい」
お父さんこと教授の気迫がすごく逆らわないほうが得だと先生は判断しました。
「それによると残念なことに未来の人類は絶望です。世界的な金融危機にはじまり、世界同時不況、世界規模の大戦争に突入します。」
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