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身なりを整えてから洗面所を出ると、寝台の上にしわ一つない真新しい制服が綺麗にたたんで置いてあった。
それに手をのばす。
英国では珍しい薄茶色の制服だった。
クリーム色のワイシャツに裾にフリルがついたスカート。学園の紋章が刺繍されているブレザーとベスト、学年ごとに色が違う赤いネクタイ。ちなみに女子はリボン又はネクタイのどっちかを選ぶ事ができる。
だから、ネクタイを選んだ。
これから3年間通う学校は創立200年以上経った由緒正しき私立学園だ。
普通の制服より多少違っていても、まぁ不思議ではない。
ワイシャツ・ベスト・ワイシャツに袖をとおしてみた。袖や大きさはは丁度良い。
次にスカートに手をのばす。長さは多少短かったが、タイツを穿けば問題はないだろう。
最後にネクタイを巻いて、部屋の隅にある姿鏡の前に立つ。
これから3年間はこの制服を着て暮らす。
特に・・・問題はないだろう。
学園が指定している通学カバンを持って部屋を出た。
部屋を出た途端、前方の廊下から男――――カルナが大泣きながらこちらへと走ってくる。
「クローエー様ー、聞いでぐだざいよー!リンじょのがひじょいんでずー!」
190センチあまりのすらっとした体に整った繊細な顔。その顔と合う無造作の黒髪。
実は寝癖らしいが、直すのが面倒という。まぁ、直すことなんてカルナはできないだろうが。どっちにしたって本人のずぼらな性格をかいま見ることができる。
そんな奴でも世間ではイケメンの領域には入るだろう。
そのイケメンが顔をクシャクシャにして子供のように大泣きしているからせっかくの顔が台無しだ。
それどころか着てるものはパジャマだ。
つい、「もうちょっと大人になれ!」っと怒りたくなる。
こんなドジばっかりする奴だが、武術の腕は素晴らしい。その腕をかって、武術のコーチ兼使用人として住み込みで雇っている。
「まぁ、落ち着け・・・分かったからちょっと黙れ。何言っているのか全く分からない。それにお前の声はパトカーのサイレン並みにうるさいんだから。」
「うわーん、クロエ様ひじょいやー!あっ、紅葉(もみじ)さんだー!聞いてくださいよークロエ様がー」
と、たまたま通りかかったメイドの紅葉の方へと走っていった。
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