プロローグ

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生物 せいぶつ なまもの いきもの 漢字一つで三つも読み方があるというのはどうかと思う。 唐突に何の話だと思われるだろうが、これは至って真剣な疑問である。 なぜ、日本人は同音異義語なんてものを作り出してしまったのかだ。 いや、同音異義語は書く事で誤解を回避出来る分まだマシな方だろう。 ルビを振らなければ、どう読むのか分からない冒頭の漢字など、ややこしい事この上無い。 そうは言っても、先代の日本人が長い年月を掛けて築き上げてきたものを否定する暴挙に出るほど僕は馬鹿では無い。 ただ、疑問なのである。 生物という漢字二文字で、せいぶつ、なまもの、いきもの、と三つも読み方があってお得な感じもあるが、やはりややこしい。 なぜ、読み方を変えるよりも『それ』を示す漢字を用いらなかったのかが理解出来ない。 深い意味があるのか?。 妥協したのか?。 僕がこんな事を思い付いた背景には、苦手な漢字テストという悪魔が立ちはだかっているからで、まったく歯が立たない解答用紙を睨んでいた。 要するに、解答が分からない小テストを前に、現実逃避をしていたのだ。 中学三年の冬。 高校進学を前に、実力テストと題して実施された小テストは、僕の心を不安にしてくれた。 『国語ヤバくね?』だ。
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