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それを横で見ていた祥子は、
「すごく良い笑顔ね。初めて見たわ。希さんの心から本当にうれしいと思ってる笑顔。今、聞こえてきた会話の中にうれしい言葉があった?」
と希に尋ねた。
それに、
「あ、えっと、今聞こえてきた会話の中に『心に残る作品』って言ってくれた人がいてすごくうれしかったんです。」
希は見られていたのかと恥ずかしそうにしながら答えた。
その希の答えを聞いて、
「『心に残る作品』・・・そうね。読んで面白いだけで終わるんじゃなくて読んだ人の心に残ってくれているっていうのはうれしいわね。」
祥子は頷きながら言った。
「はい。人の心に残って長く読まれる作品を描くことが私の目標なんです。」
希は力強くそう言った。
それを聞いた祥子は、
「そう。」
そう頷いた後、
「じゃあ、希さんの担当はあの人にしましょう。」
祥子は希を見てにっこり微笑み、そう言った。
「へっ?」
何を言われたのかいまいち理解できなかった希はそう間抜けな返事を返した。
そんな希にかまうことなく、
「竹林(タケバヤシ)!」
と希の作品を読んでいる編集部の面々のいる場所に向かってそう言った。
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