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その高宮の問いに、
「津田祥子の経営する古書店で勉強して来い。で、津田がお前を編集へ戻っても良いって許可を出したら戻ってこい。」
社長はフッと笑ってそう答えた。
その答えに、
「冗談じゃないわよ。私、引き受けるなんて一言も言ってないんだけど。」
黙って2人のやりとりを見ていた祥子が嫌そうな顔をしてそう言った。
そして、
「お断りするわ。この人をまともな編集にしようと思ったらとんでもない労力がかかるのはわかってるもの。それに何より、私はこの人が希さんにしたことを許さないわ。」
ときっぱりと断る祥子。
その顔は本気で、絶対に自分を許してはくれないだろうというのが高宮にも伝わった。
(ダメだ・・・絶対に無理だ。もうやめるしかない。)
高宮は心の中でそう思い、もうやめるしか道がないと思っていると、
「いやぁ、だからこそ育てがいがあると思わないか?できる奴育てても楽しくないだろう。ほら、ダメダメな奴ができる奴に自分の教育でなるって最高じゃないか。」
社長が笑いながらそう言った。
「……いえ、断るわ。ほかを当たってちょうだい。」
祥子は『確かに。』と一瞬考えたが、やっぱり断ることにした。
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