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一瞬考えた祥子を社長は見逃すはずなく、
「今、『確かに』って思っただろう。」
ニヤリと笑ってそう言った。
それを見て、
(相変わらず腹の立つ笑い顔だわ。)
祥子は心の中でそう言った後、
「えぇ、思いましたよ。でもダメよ。やっぱり希さんの事を考えると引き受ける気にはならないわ。」
祥子は再度きっぱりと断った。
すると、
「そのお嬢さんなら『良いと思います。』って言ってたぞ。」
と社長がさらりと言った。
それに、
『!!』
社長と祥子以外の3人が驚き、社長を見た。
そして祥子は、
「はぁ…ここに来る前に会ったの?」
とため息を吐きながら聞いた。
「あぁ、ちょうど編集部へ戻ろうとしている所だったからな。きっちりと謝罪もしてきた。まぁ、謝罪をして俺が社長だと言ったらすごい慌ててたけどな。」
社長はその時の希を思い浮かべて楽しそうに笑った。
そんな社長に、
「そんなことを聞いているんじゃないのよ。希さんに謝罪するのは当然、あなたの甥がしたことなんだから。で、希さんに何って言って『良いと思います』って言わせたの?」
祥子がイライラしたようにそう聞いた。
「言わせたとは心外だ。俺はただ『君の才能を潰そうとしたうちの馬鹿な甥を津田さんに預けて一人前の編集者にしてもらおうと思うんだけど、どう思うかな?津田さんでも無理だと思うかい?』って聞いただけだ。」
社長はその時に言ったことを思い浮かべながら答えた。
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