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入口に到着すると、
「希さん、待たせてごめんなさい。さっ、乗って。」
祥子は希以外の人間が自分に向かって頭を下げるのを無視して、窓を開けて希にそう声をかけた。
そして、
「で、そこで頭下げてるあなた達は私を待っていたんでしょうけど今日はもう疲れたから話はまた後日にしてほしいわ。どうしてもというのならメールを送ってちょうだい。その内容を見てここに来ないと話にならないっていうならまた来るから。」
と言いたいことだけいい、
「はい、話は終わり。晴海、車出して。」
希が車に乗った事を確認した後、車を発進させた。
入口を少し離れたところで、
「あ、あのいいんですか?」
希がまだ入口で頭を下げたままでいる人達をちらちらと気にしながらそう言った。
「いいのよ。そんなことよりごめんなさいねあんな状態で希さんを待たせて。居心地悪かったでしょう。」
「いえ、それは大丈夫なんですけど。」
希はまだ後ろを気にしていた。
そんな希に、
「気にしないで大丈夫よ。どうしても私に相談した仕事があるならメールするように言ったから。それに今日はもうあの人達から直接話を聞く気にはならないわ。あっ、それよりも希さん、本物の編集者と話してどうだったかしら?」
祥子はこの話は終わりという様に話題を変え、『本物』の部分を強調して希に聞いた。
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