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そんな祥子を気にすることなく、
「はい!そうです。一生懸命応募して限定100名の中に入れたんです!」
希は当選がわかった時のことを思い出しているのか興奮気味にそう言った。
「うれしかったんだね。まぁ、かなりの倍率だったろうしね。うちの孫は見事に外れてたよ。」
祥子はチケットが外れ、数日落ち込んでいた晴海の姿を思い浮かべながら言った。
すると、
「余計なこと言わないでいいから。はい、祥子さんはいつものコーヒーね。で、君はフルーツジュースで。」
いつの間に部屋に入っていたのか晴海がムスッとした顔で姿を現し、買ってきた飲み物を祥子と希の前に置いた。
そして、
「あっ、ありがとうございます。あのお金。」
慌ててお金を払おうと財布を出す希。
そんな希に、
「あっ、お金はいいよ。祥子さんのおごりだから。」
晴海はそう言った。
「で、でも。」
「学生は素直におごられときなさい。」
祥子はお金を受け取る気はないときっぱり言うと、
「晴海、そろそろ本が届くと思うから頼むよ。」
と晴海に言った。
「了解。じゃあ、俺はこれで。」
晴海はそう言うと部屋を出て行った。
晴海が出て行った後、
「そこのフルーツジュースは絶品だよ。」
祥子は飲み物を希にすすめた。
「あっ、いただきます。」
希はそう言ってすすめられるままジュースを口に含んだ。
そして、
「おいしい!」
そのおいしさに驚いた。
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