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祥子に差し出された本を受け取り見る晴海とそれを横から除く高宮。
その次の瞬間、
『!!』
2人は驚きで目を見開いた。
そして、
「えっ、これって本物?マジで『ムーブの森』?!」
晴海が信じられないという顔をして祥子を見た。
「そうよ。今、手に入れようと思ったら全20巻すべてだったら…いくらかかるか検討がつかないわね。それくらい貴重な本よ。だから落とさないでちょうだいよ。」
今にも手から本を落としてしまいそうな晴海の様子に祥子はそう淡々と言った。
「………。」
高宮に至っては言葉も出ない。という様子で無言で本を凝視していた。
そんな高宮にかまう余裕のない晴海が、
「そんな高価な本、俺に渡さないでよ。というか、何でそんな高価な本をうちへ送ってきたんだろ?祥子さんは理由知ってんの?」
晴海はすぐに本を祥子に返しながらそう聞いた。
「えぇ、わかってるわよ。」
晴海の問いに祥子は考えることなく即答した。
そんな祥子に、
「祥子さん様子がおかしいよ。こんな貴重な本を目の前に興奮してない祥子さんって見たことないんだけど…。それに『本日休業』の看板だしたから今、バイト中じゃないのに『祥子さん』って言っても怒らないし。いつもならすぐに『ばあちゃんって呼びなさい』って怒るくせに。」
晴海が怪訝そうな顔をしながら聞いた。
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