・第2話 『欲張っても得することはなし。』

10/98
365人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ
それを聞いて、 「えっ?!童話収集家!でも、石内先生ってバリバリのミステリーサスペンスの作家さんですよね?」 今まで黙っていた高宮がそう言った。 そんな高宮に、 「あんたはどうしてそう自分の考えを人に押し付けるのよ。そこを直せと何回言わせるの。」 祥子は叱るようにそう言った後、 「朝子さんがミステリーサスペンスの作家だから『童話が好き』っていうはおかしいとでも言いたいの?そんなのおかしいでしょ。自分の書く作品のジャンルが好きなジャンルとは限らない。朝子さんは自分が絶対に書けないから『童話』が好きなのよ。」 続けてあきれた様にそう言った。 「そ、そうですよね。すいません。つい癖で。」 祥子の様子にびくびくしながらそう謝った高宮。 それに、 「はぁ、謝罪はいらないの。さっさとそんな癖直しなさい。」 祥子はため息を吐きながらそう言った後、 「じゃあ、話戻すわよ。さっき『童話収集家』って言ったわよね。収集家って言われているだけあって朝子さんの所有する本の数は…本人も正確に把握できてないって言っていたけど、まぁ何万冊くらいはあると思うわ。童話もだけど絵本とかも好きだって言ってたから。それらの本の中でも朝子さんが特に大事にしている本を自分が死んでしまった後、私に譲るからって言われていたのよ。」 祥子は話を戻した。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!