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それから約15分後、祥子の指定した部屋に祥子、晴海、久木、高宮が集合した。
集合してはじめに口を開いたのは、
「珍しいですね。僕まで呼ぶなんて。」
久木だった。
久木は普段、図書の部屋で仕事をしているため古書店側へ関わることはあまりない。そのため、今の珍しい状況を不思議に思っていた。
「そういえばそうね。今回はもしかしたらって事があるから聞いてもらおうと思って呼んだのよ。」
不思議そうにしている久木にそう言った後、
「じゃあ、話を始めましょう。」
と言って祥子は話を始めた。
「皆にはもう言ったけど今日の朝、石内朝子先生が亡くなったの。で、朝子さんが自分が死んでしまった時、大事にしている本を私に譲りたいと言ってくれて私はその申し出を了承したの。それで今日届いたのがその本。もう本自体は箱にまとめてあって、自分が亡くなったらすぐにうちへ届くように手配していたらしいわ。ここまでは良いかしら?」
いったん話を切り、そう聞く祥子にほかの3人は返事代わりに頷いた。
それを見て、
「じゃあ、続けるわね。」
祥子は話を続けた。
「そもそもなぜ、朝子さんが私に本を譲りたいと言ったのか。それは朝子さんは結婚していたんだけど子供はいなかったの。で、旦那さんも10年くらい前に亡くなられている。そうなってくると…。」
祥子はそこまで言って視線を晴海に向けた。
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