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そんな祥子の視線に、
「石内先生が亡くなったら本の引き取り手がいないって事?」
晴海が疑問形で答えた。
「そう。普通はそうなんだけど。朝子さんには妹がいたの。その妹はもう亡くなっているんだけど…。」
祥子がそこまで言った所で、
「妹さんには子供さんがいたんですね。」
久木が先に祥子の言おうとした事を言った。
が、先に言われたことなど気にせず、
「そうなの。朝子さんには姪っ子が1人いるのよ。」
と話を続けた。
それに、
「えっ、じゃあその人が本の引き取り手になるんじゃ?」
高宮が驚き、そう言った。
「そうね。私の所へ届かなかったものはそうなるわね。」
高宮の疑問に答えた祥子は、
「本当は朝子さんはあんな最低な人たちに1冊だって大切な本を渡したくはなかったでしょうに。」
と、苦々しい表情を浮かべて付け加えた。
そんな祥子を見て、
「さっきの祥子さんの怒りの原因はその人なんだね。って何で『達』?」
晴海が頷きながらそう言ったが、ふと祥子の言葉に引っ掛かりを覚えそう聞いた。
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