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その問いに、
「まさか。仲が良かったなんて絶対にありえないわ。朝子さんは会うのも嫌がるくらい嫌っていたんだから。」
祥子は即座に否定で答えた。
そして、
「話は聞いていたけど私も実際に会ったことはなかったからあんまりピンとはきてなかったんだけど、今日その子に会って朝子さんが嫌っていたのがよくわかったわ。」
祥子は頷きながら続けてそう言った。
「嫌っているなら1冊も渡したくはないでしょうね。」
「ですね。自分が集めてきた大切な本ですし。」
祥子の言葉に久木と晴海ががそう言った後、
「でもそうならすべて津田さんに譲るか、どこか図書館へ寄贈すればいいんじゃないんですか?」
高宮がふと思いついたことを口にした。
それに、
「そう、普通はそう思うわよね。でも、それはしたくてもできなかったのよ。」
祥子が首を横に振りながらそう言い、
「それも含め説明するから、話を戻すわね。」
と、脱線していた話を戻した。
「お通夜が終わって会場を出たところである人に呼び止められたのよ。『本は届きましたか?』って。」
祥子はそう言ってその時の事を思い出していた。
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