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女子高生がその場を去った後、
「・・・・・・。」
店員は無言で女子高生が去った方を見ながら少しその場で考え、店の中へと入った。
すると、
「何の用だったんだい?」
という問いかけが店の奥から聞こえた。
「わからない。」
店員は即答し、声のした方へ向かった。
「わからないってどういうことだい?」
「いや、声かけたら逃げるように帰って行ったからさ。用を聞く間なんてなかったんだよ。でも多分、ばあちゃんに用だったんだと思うよ。」
店員がそう言った次の瞬間、
トンッ・・・
店員に向かってハタキが飛んできた。
「危ないなぁ。本に当たったらどうするのさ。」
店員は飛んできたハタキをよけてそう言った。
「あんたは何回同じ事を言わせたら気がすむんだろうね。店にいるときは『店長』もしくは『祥子さん』と呼びなさいって言ってるだろう晴海(ハルミ)。」
そうあきれた様に言いながら現れたのは50歳後半くらいの女の人だった。
「ごめんごめん。だって普段は『ばあちゃん』って呼べって言われてるからさ。なかなか切り替えが難しいんだよ。」
店員もとい『津田古書店』アルバイト津田晴海は全く悪びれることなくそう言った。
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