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それを聞いて、
「あぁ言えばこう言う。まったく誰に似たんだろうね。」
『ふぅ。』とため息を吐きながら店長もとい『津田古書店』店長、津田祥子はそう言った。
「母さんもじいちゃんも祥子さんに似てるって言ってたけど。」
「・・・それは置いておいて良い。それよりもさっきいた子が私に用があったんだろうってどうして思ったんだい?」
確かに自分に良く似た性格をしている孫に心のあたりのある祥子は話題を変えた。
「はぐらかした。まぁ、いいや。いやさ、確証はないんだけどあの子、漫画の原稿とかいれるケースを持ってたんだよ。学校の鞄とは別に。」
晴海は女子高生が大事そうに抱えていたケースを思い浮かべながらそう答えた。
それを聞いて、
「へぇ。それが本当ならどこで私の事を知ったんだろうね。そんな若い子が。」
祥子は少し驚いたようにそう言った。
「確かに。よくよく考えるとすごいな。」
「まぁ、私に会いたいのならまた来るだろう。」
「でも、来ないかもよ。さっきの様子だとさ。」
「その時はその時。そこまでの事じゃなかったという事さ。」
祥子はそう言った後、
「私は奥にいるから店番頼むよ。」
と続けて言い、晴海の返事を聞くことなく店の奥へと入って行った。
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