わたし、不安です。

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白い部屋。 青い星を眺める隊長のもとに部下が急ぎ足でやってきた。 「隊長!」 「どうした、何か問題でもあったか?」 緊張感のある部下の顔に、問題があったのかと疑問に思う隊長。 「あの星全体に不安が広がっています。国家間の緊張が高まり、国際的な交渉はまとまらない様子です」 「なんだ、予定通りじゃないか。何を慌てているんだ」 鼻(らしきところ)からフンと空気を出す隊長。 「それが……、宇宙人が攻めてくるという説が広がっていまして……」 「噂話だろう、不安で適当な説明にすがっているだけだ。問題ない」 「しかし隊長! 宇宙に対する対策をされた場合。本隊到着前に地球の内部統制を混乱させるという我々の目的が、達成できません!」 冷たい眼差しで部下を見つめる隊長。 「あの星は混乱している。任務は達成できている。何も問題はない」 「し、しかしっ! もし逆効果になるようなことがあれば、司令部になんと言われるか……」 「うるさいっ!」 無言で部下の首をつかみ、力を込めながら顔を近づける。 「想像でものを言うんじゃない、任務はうまくいっている」 静かに諭す隊長。 部下を首を締め上げられながらも、その懐疑の目が変わることはなかった。 巨大な白い部屋。 窓からの先にはただただ暗黒の宇宙が広がっている。 十を超える銀色の人型たちが直立しながらホログラム上の情報を読み取っている。 ビーッビーッと警告音と共に情報が表示される。 くるりと慌てて一人が振り向いた。 「総司令!」 そこにも銀色の人型。腕に金十字の飾りがついている。 「工作隊の船が爆散! 破壊されました!」 総司令の険しい顔が、さらに険しくなる。 「地球人の攻撃か?! 工作隊から何か連絡は?」 「”任務完了、攻撃部隊の到着を待つ”との連絡が最後です」 やや思案し、頭を振る総司令。 「そうか。奇襲を受けたか。工作隊の活動を察知し秘密裏に排除するとは。地球人侮りがたし」 総司令はそう独り言のように呟き、空間に切れ目を開いた。 「総司令! どこへ?」 「陛下に報告せねばならん」 総司令を見送る兵の心に、ある思いが芽生えた。
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