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「はぁ…。」
吐いた息が、白い。
早く家に帰らないと…と思うのに、手の中に残るチョコレートを見るたび気持ちが沈んで、身体が言う事を聞かない。
「君も振られちゃったかー。」
唐突にバカみたいに明るい声が、後ろからかけられた。
その言葉が悲しくて、相手を見ることなく小さく頷く。
「悲しい?辛い?」
さっきとは違い、落ち着いた声が鼓膜を震わせた。
こくり。
また、小さく頷く。
「その感情を大切にしなさい。色々な感情を体験して魅力のある人になれるんだから。今は、めいいっぱい落ち込んで、悲しんで…もういいかな?って思えるようになったら…笑いなさい。そしたら、不思議と吹っ切れるから。」
その言葉に、私は後ろを振り向いた。
そこには、泣き跡が残った顔で、でも吹っ切れたように笑って、ピースをしたお姉ちゃんが立っていた。
「…頑張る。」
「おう。頑張れ。」
懐かしい私の思い出。
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