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「…ッや、やだ…帰る…っ
『はぁ?何言ってんの?つかほんとに聞いてたのかよ?』
思わず口を突いて出た言葉に、紫の椅子の男がジロリと鋭い視線を向ける。
そんな馬鹿げた話信じたわけじゃない、でも何も考えらんない。
こんなとこ居たら気がおかしくなりそう。
とりあえずやだ、もう居たくない。帰りたい。
『なぁ、お前さぁ…
「、やだやだ!帰る!!帰して!!」
『ぉわ!ちょ…暴れんなって!』
とにかく帰りたいって思いだしたらもうそれしか考えらんなくて、どうにかこの場から逃れようと必死で手足を動かした。
オレを繋いでる鎖を持ってた関西弁の男が慌てて手に力を込める。
ぐいと引っ張られ痛みが走ったが、そんなのどうでもいい、早く逃げなくちゃ。早く、帰んなきゃ。
「離せよ!帰んだよ!!、離せってば!!」
『、ちょ、まじ大人しぃせぇって!』
『チッ…おい!
無我夢中で手足を動かし抵抗する。
一心不乱ってこのことかな、なんてどこかで考えてる自分がいて、こんな時なのに?って可笑しくなった。
そんなオレをイライラした様子で見つめてた紫の男が声を張り上げる。
そしてガタンと勢い良く椅子から立ち上がった、時。
『いいじゃない、帰りたきゃ帰んなよ』
「え…
『まぁ、帰る場所があればの話だけどさ?』
「、んだよ…っそれ
今まで全く興味がないといった素振りで、ゲームから視線を外すことのなかった黄色い椅子の男が、ポイとソレを傍らに置き、おもむろに立ち上がる。
そしてゆっくりと、歩を進め、オレの目の前まで。
関西弁の男達によって再び膝をつかされたオレと同じ目線までしゃがみこんで、冷めた瞳がじっとオレの瞳の奥を覗き込む。
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