Face Down -回 想-

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『ね、脱げないんならさ?ワタシが脱がしてあげましょっか?』 「、やっ…や、だ 『じゃどうします?自分で脱ぐ?』 『選択肢、二つしかないよ』って相変わらず興味なんてないような声音で黄色の男が言う。 なんでこんな所で脱がなきゃなんないの、って、そう返したい。 けどこんな訳わかんない状況で、知らない奴に脱がされるのなんて絶対嫌だ。 だからオレはその問いかけに対して、コクリと頷くしかなかった。 後ろ手にかけられてた手錠は、服を脱ぐために一旦外された。 今なら身体は自由だ。 けれど特にガタイが良い訳でも、ケンカが強い訳でもない自分が、この大勢の男達の中から逃げ出せるとは到底思えない。 それに、さっきの話がもし本当なら…オレは、帰ることを望まれてない…? 『おい、さっさと脱げよ。なにもったいぶってんだよ』 「ッ…」 恐怖と絶望の中、震える手で服を脱ごうと動く。 でもなかなか上手く行かなくて、モタつくオレにイラついた様子の紫の男がまたもや舌を打った。 そんな些細な事にもビクリと身体が反応してしまう。 なんとかボタンを外し、シャツを脱いだ。 そして下に着てた白いTシャツも思い切ってバサリと脱ぎ捨てた。 『なんだよ、もうちょい色気出せよ。なぁ?』 「っ… 紫の男がクスクスと笑う。 それに賛同するかのように赤の男も『ははっ』と軽く嘲笑する。 再び椅子に座り直した黄色の男はゲームを手に取り視線を移し、こちらを見ようともしない。 未だ一度も声を聞いてない、青い椅子に座った男は相変わらず無表情で、じっとオレを見つめてる。 その視線がいたたまれなくて、やっぱり目を逸らした。
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