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『入れよ』
「っ、いった…
拘束された腕を強く引かれ、痛みに顔を顰める。
ついでに後ろからドンと背中を押され、よろけた拍子に足がもつれ床に手をついた。
ガチャンと乱暴に音を立て閉められたドア。
そこは一面濃い紫で埋め尽くされた壁。
テーブルも何もない。
大きなベッドが中央にただぽつんと置いてあるだけの、個室。
さっき、ここへ来る前。
オレを値踏みするかのように全身を隈なく観察した後、青の男が言った。
『じゃあ、最初は瞭くんでいい?』
『、ぇ、俺!?』
『ふふ、得意でしょ?初めてみたいだから、拓いてあげてね??』
唐突に指名された紫の男は、青の男の言葉に眉を寄せ、ガシガシと頭を掻いた。
『…ったく、しゃーねぇなー…面倒なんだよ、初モノ』
『…壊しちゃダメだよ?』
『はいはい、わぁってるよ』
そしてヒラヒラと手を振り、了承の意を伝える。
なんの話かもわからないまま、オレは三人の男たちがそれぞれ散り散りに部屋を出てくのをただ見送って。
その後、おもむろに立ち上がった紫の男がオレの目の前へ。
「暴れたら面倒だから」って理由で再び両手の自由を無くされ、この部屋へと連れてこられた。
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