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「、はぁっ…はぁ…っはぁ!!」
走って走って、走り過ぎて息が苦しい。
吐いてばかりで上手く吸えない。
酸素が頭にまで回らなくて、クラクラと目の前が黒く揺れる。
そして今度はチカチカと白く瞬く視界。
苦しくて苦しくて、胸と背中がくっついたみたい。
まるで肺が押し潰されてしまいそうなほど、痛い。
「ふ…っはぁ、ハァ…!ココ、どこだよっ…!!」
脚が上手く動かない。
重くて重くて上がってくれない。地面スレスレの所をただひたすら前へ前へ。
動かしてるつもりなのに、自分が思ってる速度で回ってはくれないこの脚は、ほんの少し気を抜けばもつれて倒れてしまいそう。
「、あーもぉ!どっち…っ行けばいいんだよっ…!?」
辺りを見渡してみても目に入るのは一面森のような同じ景色ばかりで。
空を見上げても曇り空のせいで月も見えない。
方角も、その他に必要な情報だって、何一つ得る事が出来ずにいる。
鬱蒼と生い茂る背の高い草や、そこらじゅうの木の枝が容赦なくオレの身体を叩いては簡単に傷を作ってく。
けど今は痛いなんて言ってる場合じゃない。
そんな事は後でどうにだって出来るんだから。
(とりあえず走んなきゃ…少しでも遠くに、逃げなきゃ…!)
グイと頬を拭えば微かに腕に赤い血が付いた。
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