Red × Room

2/5
前へ
/268ページ
次へ
──ガン! 「っ…」 『おい、いつまで寝てんの』 揺れる空気に乗ってフワリと鼻を掠める。 甘いとも、清涼系とも取れるような、良い香り。 「、ん…」 いつの間に眠っていたのか。 どのくらいの間眠っていたのか。 突然の衝撃に目が覚めた。 目を開けると頭がクラクラと揺れる。 ぼやけた視界に映ったのは… (…誰だっけ…ここ、どこだっけ…) 「ははっ、ボケてんなよ」 「!?ぃあ…っ!!」 黒い、短い髪の男が、見下すような視線を惜しげもなくオレに注いでいる。 刈り上げたサイドの髪がいっそう男の鋭さを演出しているようだ。 男はオレの髪を鷲掴み、思いきり引っ張った。 痛みに思わず声が出る、と共にようやく思い出した、現実。 「ペットの分際で寝てんじゃねぇよ」 「、は…なせっ…よ!!」 手錠で繋がれた両手でなんとか男の手を離そうと抵抗する。 けれどカチャカチャと音を立てるだけで、こんな状態じゃ抵抗らしい抵抗なんて出来るはずもなく。 結局そのまま引き摺られるようにして、紫の部屋から連れ出される。 そして二つほど左にある部屋へと無理矢理に連れ込まれた。 そこは一面燃えるような赤い壁に囲まれた部屋。 男は一直線にもう一つのドアへと歩いてく。 ガチャリとドアを開け、その中にオレを乱暴に放り込んだ。 「っ…!!」 そこはどうやらバスルームのようで、男はすぐさま蛇口をひねり、倒れこんだオレの頭上からは大量の水が降り注いだ。 「そのきったねぇカラダ、キレイにしてくんね?」 俺けっこう潔癖だからさぁ?って男はククっと喉を鳴らして笑った。 「、は…っ (つ…めてぇ…) 髪を滑り身体へと流れてく水が容赦なく体温を奪う。 すぐさま震えだした身体。蒼く染まってく指先、触れ合いカタカタと音を立てる歯。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加