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「…べつに、男の身体に興味あるわけでもないし。いたぶるのも趣味じゃないし」
「は…?」
「まぁ、アンタがどうしてもして欲しいってんなら考えますけど?」
「、んなわけねぇだろっ!?」
「あぁそ?じゃあ黙って手当てでもしてなよ」
なんなんだよ、コイツ。意味わかんねぇよ。
優しい振る舞いしてくるくせに、まるで興味なんてないようで。
オレのことなんてどうだって良いみたい。
それならもう、いっそのこと逃がしてくれればいいのに。
「なぁ…なんで、アンタみたいな人がここいんの…?」
「は?なにさ、それ」
「だ…って、なんかアンタ…他の奴らとは違うじゃんか」
違うかどうかなんて知らない、あいつらもコイツも、全く知らない。
けどこの男は最初から、どこか違うような気がするんだ。
なんていうか、まるで自分のことすら興味がないような、この世界に絶望してるような、そんな暗い瞳をしている…から。
「ははっ…そう見える?べつに、なんも違わないですよ?」
「、なんで…こんなとこ…」
「…さぁ、アンタと同じじゃない?」
「同じ…?」
「…ココしか居場所がないからだよ」
「っ…」
やっぱり。
優しいようなイロをしたその瞳の奥はひどく暗くて、深い闇。
笑ってるように見せて、本当は泣いてるような顔。
何がそんな顔にさせるのか、そんな事に興味なんてないはずなのに。
どうしてだろうその瞳から目が離せない。
「ねぇ、アンタさ…
「それと、アンタじゃなくてアキだよ。みんなそう呼んでるからソレでいーよ」
「、なっ…べつに名前なんか
「コッチがイヤなんだよ、アンタにアンタって呼ばれんの」
そう言って、男はチラリとオレを一瞥する。
べつに名前なんて知りたくない。
だってオレはこんな扱いをする男たちを憎んでいるんだから。
けれど、男は名前で呼ばないと応えないと言った空気でまたツンとゲームに視線を戻す。
(なんで…ペットに名前なんか教えてんの、コイツ…)
「なぁ…アンタ
「アキ」
「……アキ」
「なんですか?」
「アンタ」と呼ばれるのがよっぽどイヤなのか、言いかけたオレをピシャリと遮る。
仕方なく言われた通りに呼べば、ようやく男は質問を促した。
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