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「ふふ、遅かったね?」
「ぁ、す…みませ…
「いいよ?でも、アキには言っとかないとな」
「!ちがっ…オレが、寝ちゃってて…」
なんでだろ、この人…笑ってるのに、なんでこんなに背筋がヒヤリとするんだろう。
口調だって声音だって表情だって、ひどく優しいのに。
なのに、どうしてこんなに有無を言わさぬ迫力があるんだろう。
「アキのこと、気に入ったの?」
「、はっ?そんなわけ…
「ダメだよ?ナナちゃんはみんなのなんだから、ちゃんとみんなのこと好きになんないと」
「は…なに、んなの無理に決まってんじゃん…」
好きになんかなるわけない。
勝手に連れて来られたこんな所で、こんな仕打ちを受けて。
憎みこそすれ、誰がお前らみたいな最低な人間、好きになんか。
「ふふ、じゃあ始めよっか」
「っ…なに、を…」
「ぅん?イイコト…でしょ?」
にっこりと微笑んだ青の男…確か、"サトル"って呼ばれてた。
"サトル"は、椅子から立ち上がりオレの目の前へ。
ほんの少し後ずさったオレの腕を引き、ベッドの横まで。
両手に付けられた手錠に紐を括り付け、少し上の方にあるフックにそれを引っ掛ける。
そして「ちょっと我慢してね?」ってその紐をぐっと引いた。
「っ…」
必然的にオレの身体は上へと引っ張られ、かろうじて足先が付いてはいるが、全体重がかかった手首には金属がギリリと食い込み痛みが走った。
「…この服、アキがくれたの?」
「し…知らな
「ふーん?じゃあもういらないね」
「!?や、やだっ!!ぁ、
"サトル"はそう言って唇の端を上げ、大きなハサミを取り出して。
恐らくアキが着せてくれてたであろう白いシャツを首元から一気にチョキチョキと切り裂いた。
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