Face Down -回 想-

4/12
前へ
/268ページ
次へ
「、んんっ…!」 結局ソコに辿り着いた思考に思わず固まり、ピタリと足が止まる。 その直後、今度は強く背中を押され、膝から崩れ落ち床に跪く。 フワリと空気が揺れる、それに乗って鼻を掠める様々な香り。 すぐ後ろに人の気配、もういよいよ殺されるんだって恐怖に全身の毛が逆立った。 お願いやめて、って声にはならないけど言おうとした時、後頭部に感じた誰かの手の感触。 「、ん!?…っはぁ、はぁ、… かと思えば口元を覆ってた布がパラリと外されて。 ついでに目隠しも同時に外され、唐突に飛び込んでくる眩い光。 あまりに眩しくて目を開けられないでいると、今度は前の方からクスクスといくつかの笑い声が届く。 (なにっ…?誰、だよ…) 「…、だ 『えーと、七原晴希…くん?』 「!?」 誰ですか、って言いかけたオレに、届いたのは思いがけず自分の名前で。 少し低く響く男の声が俺を呼び、驚きにヒュっと息を吸った。 「だ…れ…?」 『ようこそ、PET ROOMへ』 「、は…?ペット…ルーム…?」 聞きなれない言葉をただ繰り返す。 だんだんと輪郭を帯びてく視界にぼんやりと浮かび上がる部屋。 ゆっくりと首を動かせば、視界に飛び込むのは全て同じ色。 赤茶っぽい色の壁が広がるだだっぴろい部屋の真ん中に、ぽつんとオレは膝をついて。 天井には豪勢なシャンデリア。床は全面鏡張りで…? そこには俯いたオレの恐怖に歪んだ情けない顔が、はっきりと映ってた。 目の前には適当な感覚を設け、横一列に並んだ椅子が四つ。 そしてそれぞれ形も色も違う椅子に座る…一様に黒い服に身を包んだ四人の男。 (は…?なんなの、これ…誰…?知らない…) ようやくはっきりと捉えることが出来るようになった視界で、一人一人の顔を念入りに確認した。 けれど何回見てみたって誰一人見覚えのある顔なんてそこにはなくて。 だから余計に混乱するんだ。誰なの、なんなのって。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加