410人が本棚に入れています
本棚に追加
「、あの…
『へぇ、綺麗な顔してんじゃん』
その時、左から二番目の紫がかった椅子に座った男が声を発した。
少し背凭れの低いその椅子に前のめりに腰掛けた男は長い脚に肘を付き、組んだ両手に顎を置いた。
遠目からでもわかるほど濃い睫毛に縁取られた力強い瞳を、凛々しい眉がよりいっそう強調してる。
スッと通った鼻筋も、分厚い唇も、その男を造る全てが攻撃的なほどに整っている。
そして男はオレを見てニヤリと微笑んだ。
『はっ、アナタ面食いだもんね』
『当たり前だろ、こんなん顔で選ばなくてどうすんだよ』
『ははっ、それもそうね』
次に声を発したのはその隣、向かって一番左端の黄色がかった椅子に座る男。
ストライプ模様の背凭れの大きな椅子に細身の華奢な身体をどっぷりと預け、視線は手に持ったポータブルゲームに移したまま、せわしなく指を動かしている。
冷めた瞳で、まるで何も興味なんてなさそうな素振りで。
オレの視線に気づいたその男はチラリとこっちを見遣り、『可哀想だね、アンタも』って。
そう言う割には、まるで人を嘲笑するかのようにフンっと鼻を鳴らし、すぐに視線を手元に戻す。
さっきの男に比べると随分と薄い顔をした男の薄い唇、その下にあるホクロが妙に妖艶さを演出していた。
ツンと尖った鼻と、伏し目がちの瞳が冷たい雰囲気を醸し出してる。
最初のコメントを投稿しよう!