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「お前、なんか上手くなって……い、いや、もしかして俺が昔教えたのかな……いやいや、でも、そうなら……こいつぅ!」
「ちょ、なに訳わかんない事言ってるの烈! 上、上! 枝ーー!」
「あん?」
締まりのないヘラ顔のまま、烈がその場で硬直する。
すると下から、なんとものんびりした声がかかった。
「レツさーーん。ふにゃけて半重力の術ユルんでまセンかー。如意棒が重すぎて今にも……」
次の瞬間、枝が派手な音を立ててポッキリと逝った。
「折れたーーーーっ!?」
「いやあああぁぁぁーー!!」
堅く抱き合ったまま、リーファと烈が杉の木の天辺から真っ逆さまに落ちていく。
「烈! 術、術! 軽くなってーー!」
「今さら軽くなったって、落ちるもんは落ちる! 玉龍、クッションになれーー!」
「やデスーー!」
「バカ言ってないで烈さん、パアァァァス!!」
「烈、こっちにーー!」
雲杉の下で二胡と笙を奏でながら二人を見守っていた浄と戒が、楽器を放り出して両手を広げる。
それをめがけて烈がリーファを放り投げた。
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