【第八章】まほろば

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「お前、なんか上手くなって……い、いや、もしかして俺が昔教えたのかな……いやいや、でも、そうなら……こいつぅ!」 「ちょ、なに訳わかんない事言ってるの烈! 上、上! 枝ーー!」 「あん?」  締まりのないヘラ顔のまま、烈がその場で硬直する。  すると下から、なんとものんびりした声がかかった。 「レツさーーん。ふにゃけて半重力の術ユルんでまセンかー。如意棒が重すぎて今にも……」      次の瞬間、枝が派手な音を立ててポッキリと逝った。 「折れたーーーーっ!?」 「いやあああぁぁぁーー!!」  堅く抱き合ったまま、リーファと烈が杉の木の天辺から真っ逆さまに落ちていく。 「烈! 術、術! 軽くなってーー!」 「今さら軽くなったって、落ちるもんは落ちる! 玉龍、クッションになれーー!」 「やデスーー!」 「バカ言ってないで烈さん、パアァァァス!!」 「烈、こっちにーー!」  雲杉の下で二胡と笙を奏でながら二人を見守っていた浄と戒が、楽器を放り出して両手を広げる。  それをめがけて烈がリーファを放り投げた。
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