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 クニがふざけていった。 「なんてったって、握力400キロだもんな。リンゴを潰(つぶ)すのに80キロだったっけ」 「ああ、そういわれてるな。でも435キロというのは出力限界の数値で、普段は375キロまで抑えるようにいわれているんだ。耐久性の問題があるから。それでもバケモノだけどな」  テルが自分をあざわらうようにいう。ジョージがひどく優しい声で質問した。 「どんなバケモノなんだい」  クニが顔をあげた。 「今じゃあ、佐竹(さたけ)宗八(そうはち)だって敵じゃない。接近戦ならな。つかんだら、終わりだ」  実戦で三桁(けた)の敵を屠(ほふ)ってきたと噂される伝説の兵士だった。須佐乃男の操縦者候補のひとりだ。だが、佐竹の戦果は実際にはその半分くらいだろうと、タツオは踏んでいる。実戦で敵を倒すのは、たいへん難易度の高いものだ。格闘戦ならなおさらだ。
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