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門らしき木戸を押し開けて中に入ると、緑が鬱蒼と繁る、広い庭が広がっていた。 工房はおそらく右手に見える小屋だろう。 とりあえず、雑草が元気に伸び広がる庭を進む。 足で雑草を踏むたび、懐かしいような草の匂いがするのが嬉しくて、つい庭を歩き回る。 と、弦を弾(はじ)く音が聞こえた。 ああそうだ、楽器を見てもらいに来たのだった。 G線D線A線E線と弾(はじ)いて、ちょっと音程のおかしかったD線に戻る。 D線とA線を交互に弾(はじ)きながら、音を合わせているようだ。
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