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……声が。 おそるおそる視線を下へと下げる。 ……喉仏ーーー!! まさか、男性だったとは……。 「あの、……どうぞ?」 彼は、無言で固まる俺を中へと促すと、自身も中へと入って行った。 はあ、とひと息。 運命の出会いなんて、そうそう落ちてはいない訳で。 とにかく、今日は楽器のチェックをしてもらいにきたんだ。まず診てもらわなくては。 「散らかっていてすいません。」 さっきまで作業していたと思われる机に手をつくと、くるりとこちらを振り返った。 「いえこちらこそ、突然すいません。」 男だけど、やっぱり息をのむ美しさに、心臓が不整脈を起こす。 「いえ、ありがとうございます。」 ちょっとはにかんだ笑顔に、やっぱり気分が落ち着かなくなる。
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