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「最近替えたばかりの楽器なんですけど、少しノイズがする気がして。」 ケースから出して、彼に楽器を渡す。 はい、と彼が受け取る時、わずかに眉がしかめれたように見えた。 この黒いボディに違和感があるのかもしれない。 裏板を舐めるように見て、二枚板になっている合わせ目にそっと指を這わせる。 それからくるりと反転させて、表板をチェックする。 f字孔から中を覗いて、明らかに顔色が悪くなった。 「あの、何かありますか?」 今度はスクロールを険しい表情で見ている彼に、ためらいがちに声を掛けた。
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