1117人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、それはそうですよね、確かにね。
「すいません、ちょっとびっくりして……。」
こっちの脳内を読んだのか、そう言って彼が小さく笑った。
眉間のシワがふっとほぐれ、まるで花が咲くような笑顔に、本気でドキっとする。
色素の薄い髪が、窓から入る光にキラリと光って妙に神々しく見える。
迂闊に触れたら、二度と会えなくなるような。
「申し訳ないのですが、この楽器を少し預かってもいいですか?ちょっと確認したい事もあるので。」
「確認?もしかして結構まずい状態なんですか、このバイオリン!」
焦って言うと、彼は困ったように微笑み、
「それも含めて、確認させて下さい。」
そんな顔されたら、もう何も言えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!